少し時間が経ったが、アニメ制作会社で働く28歳男性が過労自殺する事件があった。共産党の田村智子議員が参院文教科学委員会で取り上げていたので、それは視点がずれていますよとFacebookに突撃した。その内容をまとめなおして以下に書く。
アニメとは労働集約的で職人技が必要な割には付加価値が乏しい嗜好品である。マンガには画質の向上は求められないが、アニメには求められる。地デジへの移行においては、実写のテレビ番組の作成では機材を一新すれば画質が向上するが、アニメには作業時間を投入し続けなければならない。アニメの画質が向上しても、掛かるコスト分だけ価格転嫁できてはいないだろう。
最近思うのだが。紙の書籍や電子書籍の値段とアニメ作品のダウンロードの値段を比べてみれば判るが、(DRMに差があるものの)圧倒的にアニメ作品に手間がかかっているはずなのに値段の差が小さいもしくは逆転している。アニメは嗜好品。ファンがお金を払わなければ衰退するのが当然だろう。
さらに定量的に書く。
アナログ放送対応テレビから地デジ放送対応テレビに移行して、DVD程度の画質からフルHD画質になった。技術的には6倍画素が増加した計算になる。6 倍絵が綺麗になったとも言えるだろう。その分だけアニメ制作現場はアウトプットとして6倍緻密な作業をしている。ではアニメ制作会社その分だけ価格転嫁できているのだろうか?
アニメは嗜好品なのだから、アニメファンは何らかの形でよりお金を払うのがものの道理というものである。しかし地デジのテレビになって画面が横に長くなった分も負担してはいないのではないか。
テレビや映画のアニメは放映後にDVDやBDが販売される。ブルーレイディスク(以下BD)はDVDに比べて6倍画素が詰まっている。にも拘らず価格差は大きくはない。単純に考えればBDはDVDの6倍となる。技術革新などを考慮しても2~3倍の価格差とすべきだろう。
音楽を例にすれば、圧縮音源のダウンロード販売に比べてハイレゾ音源のダウンロード販売の価格は2倍近い。同様にアニメBDも価格を釣り上げて、ファンはお布施として購入する。こういったファンの信心が必要だ。
地デジに移行してからはBDと同水準のアニメが無料で流れている。ガンダムの画質が6倍上がったからといって、ガンダムのプラモデルが6倍売れる訳ではないだろう。地デジだからといって、テレビ局やスポンサーにとってアニメの画質を上げる必要があるのか疑問である。仮に、アニメ制作者の労働時間を下げる目的で、アニメの画質を下げたらファンは離れていくのだろうか?
アニメに対してはファンでさえ製作者に対して金払いが悪いのに、クールジャパンの掛け声とともに国民の税金を使って欲しくはない。安部・麻生コンビならやりかねない。
アニメはあくまでも嗜好品である。製作者の生活をファンが負担する気がないのなら淘汰されてしてしまえばよい。結果として、強い業者が残って弱い業者が淘汰されるのは衰退でもなく、アニメーターの待遇も改善するのではと思う。
アニメーターの転職支援やアニメ制作会社の業種転換(アニメの制作技術を他に転用できないものか)ならば国費の投入も国民の理解が得られるだろう。
将来的にテレビは画質が4Kとなり、現在の地デジの画質からさらに4倍絵が綺麗になる。このままでは自殺者もさぞ増えることだろう。