公益通報者保護法の担当窓口って大変だな

公益通報者保護法施行によって、個人が組織に対して影響力を持つための武器が出来ると。4月の施行以降、内部告発が増えるかもしれない。場合によっては祭り化するケースも出てくるだろう。

日本生命事件みたいな内部告発が組織内で処理できるようになれば、組織も個人もダメージが少ないくなって良いのではないか。
しかし組織内で処理できなければ、次は行政やメディアに通報されてしまう。「組織内で処理できなければ、次は外圧で」みたいなことが正当性をもって行使される。その準備として、通報者は担当窓口とのやり取りを全て記録し(会話内容もコッソリ録音)、外部への通報の材料にするのだろう。

匿名を保った形で組織内の担当窓口に通報したらどうなるのだろう?その気になれば、複数の方法で匿名を保った方法で通報することが出来る。「対応が見られなかれば外部に通報する」という警告を付けてもいい。そうすれば、担当窓口は無視することも出来なくなる。
担当窓口は匿名性の保てるフリーメールで通報を受けたとしても、「正式な手続きではないので対応しません」と返信するわけには行かない。何しろ相手は(必要事項が満たしているのであれば)正当に、組織外に対して通報できるから。
窓口担当は匿名通報を受ける度に、真偽を確認せざるを得ない。内部調査をしたり、通報者の匿名性を保てる方法で通報者にインタビューしたりしなければならない。

 企業法務の第一人者で内部通報窓口の運用受託も手掛ける中島経営法律事務所の中島茂弁護士は「通報窓口を置いたものの、担当者が『電話が鳴ったらどうしよう』とビクビクしている企業もある」と指摘する。

 「これらの企業では窓口を単なる電話番としか考えず、そこに持ち込まれた通報や相談に対して適正な調査を実施し、是正措置を行うまでの一連のシステムを設計していない。社員が情報を与えても、解決できなければ信用を失い、通報が持ち込まれなくなる」

 公益通報者保護法の施行後は、社内の内部通報システムが十分に機能しない場合、一定の条件の下に社員がマスコミなどの外部に通報しても解雇などの不利益を被らないよう保護される。形だけの窓口設置では社員、社会の双方から糾弾されることになりかねない。

公益通報者保護法に備えよ(前編)/SAFETY JAPAN 2005 [特集]/日経BP社

担当窓口って大変だな。もっとも担当窓口だけではなく、この種の相談を受ける立場の人全てに当てはまるのだろうけど。

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